最終更新日 2025年1月19日
日本では母体保護法によって、人工妊娠中絶の定義がなされています。
それによると、胎児が母体の外で命が保てない時期に、人工的に胎児とその付属物を母体の外に出すことです。
付属物というのは胎児につながっている胎盤や覆っている羊水のことを言います。
人工妊娠中絶手術を行う条件
この定義を見るとわかるように、人工妊娠中絶手術を行うのには条件がつけられています。
まず時期は妊娠22週未満までとなっており、それ以上に育ってしまうと母体が危険になりますし、倫理的な問題も出てきます。
それから手術ができるのは、妊娠をそのまま続けていくと、体や経済的な理由で母体の健康が損なわれてる可能性があるとき、それから暴行や脅迫で無理やり性行為を強要されて妊娠したときと決まっています。
そして時期や中絶をする理由は問題がなくても、手術をするときには妊娠させた男性の同意書を用意しなければいけません。
ただし、関係を持った相手が複数いたり、相手が亡くなっているとか暴行されたというときには、同意書を得ることは難しいです。
医療機関の中には、それでも同意書が必要だからと手術を断るところがありますが、事情が考慮されたら女性の要望だけで手術を行えるところもあります。
母体保護法指定医師でなければ手術は行えない
なお人工妊娠中絶手術は誰でも行えるものではなく、母体保護法指定医師でなければいけません。
それも踏まえて、時期を過ぎてからの手術や指定医ではない医師が執刀をした手術は、堕胎罪に相当するので医師や妊婦本人が罰せられます。
ルールに基づき行われている人工妊娠中絶ですが、昔から議論を呼ぶ問題であり結論が出る気配がありません。
何が論点になっているのかというと、胎児は人格を持った人間なのかと言うとことです。
人格を持った人間であれば、その生命を奪うのは殺人です。
それと対立しているのが、子どもを産むか、それとも堕ろすかは女性の権利であると言う主張です。
当然の権利を行使しているだけなので、罪ではないということです。
これは宗教的なモラルやフェミニズムなどの思想が入り混じっています。
まとめ
さらにこの話を複雑にしているのが、最近になって普及してきた出生前診断です。
出生前診断では胎児の染色体異常を調べられるので、産む前から体に何らかの障害が出てくる可能性がわかります。
障害を持った子を育てるというのは、大変な苦労を伴うことなので、産まないという選択をする妊婦もでてきます。
そうなると、生命を選別することを意味します。
それが果たして許されることなのか、ということで意見が分かれています。