正月遊びでもお馴染みの羽子板は、装飾の美しさが技術的に高められ、今では芸術品と捉えられるケースも増えています。
日本の伝統工芸品の1つで、歴史と生活に密着した親しみがありますから、今後時代が変わっても受け継がれていくと思われます。
現代においては、人物などの人形を装飾に用いたタイプや、花飾りの縁起物に創作品まで幅広く種類があります。
人形を用いたものは節句用に作られることが多く、ボリューム感があって手に持つと適度な重さが感じられるのが特徴です。
勿論、遊びや競技には向きませんが、飾って楽しむには満足感の高い1品となるでしょう。
現代の人物をデザインした羽子板は、顔が伝統的な美人から現代風にアレンジされており、より親しみやすくなっています。
時代と共に美人の定義は変わるものなので、今の時代に合わせてアレンジを行っているのは良い判断だと考えられます。
当然ながら、世代によっては従来のデザインの方が受け入れやすいので、併売している企業やお店も少なくないです。
違いといえば押絵部分にも表れており、より細やかで柄のバリエーションも増えている印象です。
同じデザインで色が異なるパターンなど、多色展開がしやすくなっているのも現代的な羽子板の特徴の1つです。
他にも、細い線がシャープに表現できたり、発色が改善されて色のメリハリがついているなど、着実に進化しているといえるでしょう。
花の押絵を採用しているタイプも、ボリューム感や繊細さがこれまで以上のものとなっています。
工芸品なので機械任せというわけにはいきませんし、となると手作りの工程が多くを占めることになります。
従来と比べて進化した部分は、素材の種類の増加や品質の向上も関係しますが、やはり職人の技術力のアップが大きいです。
代々受け継がれてきた技術を元に、満足や妥協することなく追求を続けてきたからこそ、今の完成度の高さがあるわけです。
総手作り品は手間暇が掛かるだけあって最高級ですが、価格は別としても一度は手に取ってみることをおすすめします。
それはまさに芸術品の呼び名に相応しく、おめでたいお正月飾りや誕生日祝い、記念品などに用いられているのも頷けるはずです。
もらって嬉しい喜びが感じられる品物ですから、特別な機会の贈り物に迷った時は、羽子板を検討に加えてみるのが良いでしょう。
手作りの品物は、複数個作られるとしても1つ1つが一点物なので、写真と同じ仕上がりの品が手に入るとは限らないです。
もし顔や全体的なバランスに妥協したくない場合は、直接品物を見たり手に取って、納得行くものを購入することが必要です。
それくらい繊細に作られているので、やはり工業製品とは一線を画すことが分かります。
部分的には印刷や装飾が機械化されているものの、手作業を必要とする部分が多いですから、総手作りでなくても手作り感は強く表れます。
職人1人が1日に作ることのできる羽子板の数は限られますし、集中力が仕上がりに影響するので、大量に作ることはどう考えても不可能です。
となれば価格に反映されてしまうので、時代が変わっても高級品のままだったり、価格低下には期待できないといえます。
販売する企業によっては、定価ではなく時価を採用していることもあるので、購入のタイミングによって価格が変動することはざらです。
比較的大きな企業で、複数の職人が大量に製造できる規模があれば、定価を設けて販売することもあります。
羽子板は伝統的なデザインに加え、現代的なデザインも積極的に採り入れられています。
人物のデフォルメや話題になった有名人などがそれで、どちらも近年力が入れられている傾向です。
有名人のデザインは古くからありましたが、俳優や伝統芸能関連に限られていたので、スポーツ選手やテレビタレントが採用されるようになったのは近年のことです。
デフォルメも同様に、近年は可愛らしい方向性のデザインや、現代人風のアレンジが色濃くなっています。
企業のロゴや商品のパッケージを組み合わせたものまでありますから、伝統工芸品や芸術品とはいっても、割と発想は柔軟で時代に合わせている感じです。
伝統技術に拘る職人であっても、これまでの定番デザインに留まるのではなく、新しい表現の手法を模索している人が珍しくないです。
理由としては、若い世代における興味が薄まっていたり、後継者が不足しているといった事情があります。
つまり変化は必然的に起こったもので、職人達の危機感が切っ掛けになっていると見るのが無難でしょう。
ただ、海外で注目を集めているというポジティブなニュースもあるので、決して悲観するような状況でもないです。
高価で購入を躊躇してしまったり、大きくて飾るのが難しいといったニーズには、シンプルで小さいサイズを提供することで応えます。
これによって、選択肢の幅が広がり手頃な価格帯も充実したので、多様な商品展開が成功の結果に結びついています。
最終更新日 2025年5月12日
